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人間には「どうにかなること」と「どうにもならないこと」がある。
その「どうにもならない」あることに27年目にして初めて、俺は突き当たっている。
俺は、この3ヶ月あまり、何の努力もせず仕事もしなくても金をわんさか得る方法を考え続けた。
俺のことだからどうにかなるだろう、と正直本気で思った。
しかし、何度記帳しても、減るばかりで一向に増えることのない通帳を目にして、ここにきてこの考えに無理があることに気が付いた。
これは本気でどうにもならないらしい。
当たり前と言えば当たり前だが、人間、気が付きたくないものにはなかなか気が付かないものである。
仕方がない。
これも運命である。
俺は、そろそろ諦めて職を探すことを考えようと腹を括りかけたが、手持ちの現金が底の底に付く前にやることがあった。
この2年間で俺は、東京、仙台、郡山、ススキノと無駄にキャバクラ奥の細道を巡ったわけだが、関西のキャバ事情となると、とんと無知である。(※注。芭蕉は蝦夷には行ってません)
仕事などという面倒なことをすれば、余程の事がない限り、わざわざ関西に遊びになど行けない。
とりあえず京都とミナミのキャバクラだけは体験しておかなければならない。
これは、俺に与えられた責務である。
そんなわけで、方々手を尽くして、京都、ミナミそれぞれ1泊分の旅費を用意した。
はっきり言って、食い倒れもする余裕のないギリギリの旅である。
しかし、ある種の特異な芸術や記録が常にギリギリの中で産まれていくものであることを考えれば、俺のこのギリギリの旅にこそ、何か運命の瞬間というものが生まれるような気がした。根拠ないけど。
で、さっそくだが、いざ、当日である。
と言いたいのだが、出発の前からハプニングに見回れることとなった。
幾ら何でもせっかくの京都なので、観光の一つでもしておこうと早めに新幹線に乗る予定だったのだが、すでにアル中に片足突っ込んでる俺は、前の晩も独りで安焼酎を呷ってしまい、起きたらすでに12時過ぎ。おまけに準備もしていない。かばんに着替えやら、コンドームやら(念のため)を詰めて、家を出て東京駅に着いたらもう3時。さらには、そこで、とんでもないことに気が付いた。なんと、宿やその他のすべてのチケットを家に忘れてきてしまったのだ。
俺は途方に暮れた。俺ともあろうものが、そんな初歩的なミスをするなんて。。
さすがに自分の馬鹿さ加減に凹んだが、ないものはない。とんぼ返りで家に引き返して、チケットを持って、また東京に向かうが、やっとのことで新幹線に乗れたときには、すでに時計は6時を回っていた。どちらかと言うと、朝の6時には出発したかったので、見事に時計1周分遅刻してしまったわけだ。
参った。
せっかくの観光が台なしである。
しかし、列車に乗ってしまえば、慌てても仕方がない。
到着予定時刻は、午後9時半。
チェックインしたら、即キャバクラに向かうしかない。
略して、即キャバ。
俺の京都の始まりである。
(何のキャバクラの話しもなくつづく)
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