北の国から(すすきの体験記2)

 

さて、二日目である。
当たり前だが、この日が早くも最後の勝負である。
そして、時計の針は回り、夕食時になった。
まあ、朝昼はさすがに富良野なんぞに行ってみるが、ラベンダーが綺麗だろうと北の国からが盛り上がっていようとどうでもいいことだったので、省略する。
北海道に来てから食べたものと言えば、マックのハンバーガーに、ラーメン、ドトールのサンドイッチ、高速のパーキングのたこ焼きであったが、このラインナップは幾ら何でも哀しすぎる。
かといって一人だと、洒落た店にも入りにくい。
そんな理由があってもなくてもどうでもいいのだが、昨日店で最後にあったSに電話する。
そのコは二つ返事で誘いにオーケーしてくれたが、市街地まで遠いので時間が掛かるという。
「んじゃ、迎えに行く」というと、あっさり住所を教えてくれたので、カーナビに入力して迎えに行く。しかし、昨日飲み屋であって1時間話しただけなのに、自宅ってみんな教えるもんなのかね。まあ、いいけどさ。
玄関の戸を叩くと、中からSが出てきた。
昨日は酒酔いと眠いので良く覚えてなかったが、良く見ると、このコはかなり可愛い。

ああ、こりゃ大変だな。

と思いながら、蟹を喰いに行く。
昨日は何の話してたか忘れたので、改めて年齢を聞くと19歳になったばかりで入店1ヶ月のホヤホヤである。
蟹をつまみながら、色々話すが、Sはキラキラした純粋な目で俺を見る。幼さからにじみ出る無警戒な視線に、

ああ、こりゃいかんな。

と思っていると、Sの携帯がメールや電話の着信が次々に鳴る。
電話に出ないので、出なくて良いの?と聞くと、すぐ打ち切れるように店の空き時間しか連絡しないという。
同伴や営業も一切したことがない、という。
それでも、入ってすぐにあっという間にお店で3番人気になっているのが、Sの可愛さを物語っている。
昼の仕事を見つけたら、もうすぐ店を辞めるらしい。でも、これは店にも客にも絶対内緒なんだって。

ふーん。
なるほどね。
しかし、目の前にいる俺は一体何者なんだろうね。

しかし、俺にとってはこういうシチュエーションは良くある。
人に言わせるとフェロモンが足りないらしい。フェラして欲しくてモンモンとしているのに、それが伝わらないらしい。
まあ、それはそれとして、問題はこのコの赤ん坊のような綺麗な瞳である。

ああ、これは困った。

荒み切った俺の心にこういう瞳で見つめられると、ふつふつと劣等感が沸き上がってくるのだ。
そこで、

あのさ、Sちゃんさ、俺ね、キミにあんまり見つめられると溶けてなくなっちゃうんだ。だから、今日は帰るね。

などと、いい加減なことを言って別れることにした。
Sはキョトンとした顔をしてたが、意味があまりに分からな過ぎたためか、深くは聞き返して来なかった。
そして、俺たちは、なんと割り勘でこの店を出た。

良い年したオヤジが、入店間もない19歳のキャバ嬢をメシに誘って、割り勘で同伴もせずに帰る

なかなか男気がある行動である。
普通の男では、見栄があって、こんな行動は取れまい。自分でもびっくりだ。
まあ、もともと同伴という概念がSにはなかったようなので、問題なく別れることが出来た。
お互いの住所は交換したので、このコとはペンフレンドとして今後も関係を続けるつもりだ。
ホントに裏のないとても良いコだったので、元気で頑張って欲しい。
俺は、短い出会いと別れに一抹の寂寥感を味わいながら、

さてと、
別の店に行くか。

などと呟いていた。
二日目の夜は長い(はず)

(さらに続く)


本日の結果

投資額   −円
回収額   −

収支    −円

 

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