北の国から(すすきの体験記1)

 

2002年夏。俺は突発的に会社を辞めた。次の目標やアテなど全くなしである。

そして、9月9日。
俺は自分の境遇も忘れて、長年思い続けた北海道の地を踏むことになった。
北海道。
自然が呼吸する地。
ここで俺は2泊3日の旅の間、どこまでも続く原生な大地を踏みながら自然に帰る決意をした。
、、わけはなく、目的はただ一つススキノである。

VIVA!VIVA!VIVA LA SUSUKINO!

俺は、ドラゴンアッシュの「VIVA LA REVOLUTION」を強引にアレンジメントして、飛行機を降り立った。
新千歳の空港でレンタカーを借りた俺は、その車を利用してさっそく札幌に向かった。
宿は今日のためにススキノのど真ん中に取っている。
到着したのは、午後3時頃。
この時間なら札幌の街を十分に堪能できるはずだが、賢い俺は、ここで昼寝をするという選択を取った。
ここで休息を取って、完璧な体調で夜のススキノを満喫するという作戦である。ワールドカップのアメリカ代表の警備のごとく、万全な体制である。
ススキノ以外の他の部分は、「良かったよ〜」と言っとけば、観光したふりぐらいできるだろう。

そして、ホントに寝てしまった俺が起きたのは、午後6時。
これから着替えて食事すれば、7時過ぎに1軒目に突入出来る。
この時間ならどの店も安い。知らない街の最初には丁度良いだろう。
俺は自分の体内時計に感謝した。他の人間が出勤や仕事のため朝に目が覚めるのものが、俺にはキャバクラのためにあるらしい。
宿を出てススキノを歩くと、風俗の店鋪が普通の企業と対等のごとくビルを埋め尽くしている。歌舞伎町を含めた東京の街なら、どこかひっそりと身を縮めて営業しているのが風俗だが、この街では違うらしい。大体、店の入り口ではなく、一般の人にも目に付くビルの入り口に堂々と出勤のコの顔写真が並べられているのだ。仕事を恥じるという気配が店にも女の子にも希薄だとしか言い様がない。

これが北の大地か。

そんな感慨に耽って歩いていると、客引きらしき男が張り付いてきた。
そして、「先月は97件もぼったくりの被害があったらしいんですよ。危ないから気を付けて下さいね」と言って地図を渡してきたので、

そのウチの何件かてめえのせいだろ!

と突っ込もうかと思ったが、恐いので、

はい。気を付けます。

と言って、無料案内所へ入った。
そこで、色々情報をチェックしていたのだが、ススキノには触っちゃいけない店はないのか?というくらい風俗とキャバクラ(東京でいうセクシーキャバクラのこと。東京のキャバクラはこちらではニュークラブというらしい)の情報しかない。
ススキノに詳しい友人に電話して聞くが、彼は「キャバクラなんか行かずに、ソープへ行け」の一点張りであった。
そんなにソープが良いのか、と思いながら良く良く続きを聞くと彼はソープしか行ったことがないらしい。そういえば彼の場合、普段から穴があったら入りたいだけの人間だったことを思い出し、参考にするのは辞めた。
今回の俺は、触れないはずの女の子に触るという崇高な目標を掲げている
触っても良い店で触ったところで、全然嬉しくない。

ニューキャバの店を探しに街を再び歩くが、ススキノの街全体が風俗と化している気配すらあり、やはりキャバクラとヌキの店しかないように思える。しょーがないのでコンビニで「ススキノパラダイス」という飲み系の情報誌を買って調べて、店のあたりを付けた。
不思議な逆転現象だが、最初に足を向けたTというニューキャバの店は、ヌキの店に押し出されるようにビルの端で宣伝もせずにひっそりと営業していた。
一瞬ぼったくりかと警戒したくらいだ。
実際は健全な店で、それなりに可愛いコが二人ついたが、どちらとも、

「どこから来たの〜?」
「東京」
「へえ〜そうなんだ〜。私は、ずっと札幌〜」
「へえ、そう」

というような会話をしただけで、1時間で店を出た。

次にYという店に行くと、ついたコがいかにもやる気がなさげである。
眠そうな上に、こちらに関心がないようなので早くチェンジしろよ、と思っていたが、フリーで入ったのに、1回もチェンジがなく1時間が過ぎた。
一体1時間のうち何分無言で宙を見ていたことだろう。。

どうした!ススキノ!
お前の本当の力を見せてくれ!!

と、口直しにさらなる店に足を向けた。
ギャルズパブと冠打ったPという店に行くと、そこではSというコがついた。
このコは、明るく元気でなかなか良いコだったので、

今日のアフターはこのコで決まりだな。

と獲物を狙う狼のごとき視線を隠して、指名を入れた。
それから、

この店、何時までやってんの?

とさりげなく聞くと、なんと6時までやってると言う。

ろ・ろくじ〜!?

志村けんと石野陽子の布団コントばりに(古過ぎ)聞き返すが、ウソではない。
時計を見ると11時だから、朝までは後7時間ある。
幾ら何でも、そりゃ無理である。
しかも、なにやら眠くなってきた。
仕事を辞めてから毎日12時間は寝てたから、今日は昼寝を合わせても9時間睡眠では足りなかったらしい。

明日があるさ。

そう自分に言い聞かせ、俺は、1泊目の帰宅の途につくことにした。
何もない。。

(続く)


本日の結果

投資額  96,000円(旅費込み)
回収額     100円(なんとなく百円)
収支  −95,900円

 

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