引き攣り店外デート

 

俺は「カッコ悪い」「金がない」「切れ痔」の3Kを抱えた悲しきキャバクラ−だが、そんな俺にも愛の手を差し向けてくれるキャバ嬢もいなくはない。(愛=×恋愛 ○人類愛)
Aというそのコとは、お店に行かなくなっても、プライベートで時たま会う。
これは、俺の口説けないから口説かない性格に起因するものだと思うが、先日、久々にそのコと夕食を一緒に取ることにした。
そのコは非常に愛くるしいルックスにして性格も優しいという、それはそれはステキなコなのだが、普段の素の親しみやすい姿とお店のテンションがほとんど変わらないという特技を水商売にフル活用するという、通う男どもには非常にタチの悪いタイプのコで、正直なところ何人の男が泣いているのか分からない。
現在は某というお店にいるのだが、前の有名店でナンバー1だったことがその怖さ(?)を証明している。
なぜか俺には住所まで教えてくれたので、そのコの地元で待ち合わせした。
ここまで読むと、なんか一見楽しそうな話に聞こえるが、そんな単純に楽しいことが起きるはずがないのが俺の人生である。
もんじゃ焼きを食べながら、お互い近況なんかをなんじゃもんじゃと話してたわけだが、しばらくすると、そのコは訊きもしないのにペラペラとオトコの話なんぞを明るく話し出した。
実は彼氏がいるというのは知っていたが、

私、落ち込んでるときって、誰とでも寝ちゃうの

などと言う話になった辺りから俺の笑顔は引きつり出した。

1回だけって言ってるのに、本気にするバカが多くて困るんだよね。キャバクラでの出会いなんて所詮騙し合いじゃん。それなのにしつこく電話してきたりして、うざい客が多くて、だから前の店の客、全員切ったの

×××

訊かされる俺は、頷きながらも、自分でも顔が引きつっていくのが分かった。
さらにしばらくの間このような話は続いたのだが、激しい動揺でアタマを揺らしながら、どうしても訊きたくなったことがあった。
それは、

俺も、その騙し合いのキャバクラで知り合ったんだけど、今の会話も騙し合いなのか。

ということと、

(結果として口説かなかったが)もし、俺が口説いていたら1回だけでも抱かせてくれたのか。

ということだ。
しかし、そんなことより以下の思いが頭の中を巡った。

っていうか、そんな話を聞かされる俺って何??

経験に乏しい俺には頭の中で整理がつかず、パニックに陥った。
その後、話は芸能界だとか仕事の話だとかフツーの話に移ったが、俺はこの疑問符に打ちのめされて、会話に乗りきれない。

結果として、この疑問符を俺は最後まで口に出すことが出来なかった。
そして、「今日は私が奢ってあげる」と言われたので、なぜかそのコにメシを奢ってもらった。訳が分からない。

それから、そのコが「彼氏が家で待ってる」と言うので別れたわけだが、その背中を見送りながら、俺はこの歳になって本気で自分の存在意義について考えてしまった。

この問題はきっとキャバクラ嬢だとかは関係ない気がする。
考えてみれば、俺に対して不可解な態度を取るコは他にもいた。
もちろん、俺が「不可解」だと思ってるだけで、他の人から見たらちっとも「不可解」でないのかもしれない。
何というか、一体女性のどこの部分に真意があるのでだろうか。
あるいは、ないのだろうか。
このへんが俺の人生の命題になるかもしれない。

男とはなんぞ。

と、書きながら、これほど他人にとってどうでも良いこともないような気がして筆を置く。

 

本日の結果

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