※ここは、生きる力となる市販の出版物、映画・音楽などを、完全に個人的な見解で紹介しています。
なお、好きな作品をリストアップしているわけではありません(もちろん、嫌いな作品は挙げませんが)
漫 画
さそうあきら「俺たちに明日はないっす」(小学館)
「1+1は?」(文芸春秋)
「神童」(双葉社)
優しさで満ちた彼の作品群は傑作揃い。
ちょっと不条理な世界観もその優しさで包み込んで、読むものをホッとさせる。
岡田あーみん「お父さんは心配性」(集英社)
精神に異状をきたしているとしか思えないその破綻的な世界は腸がよじれるまで笑うこと間違いなし。
イヤなこともすっかり忘れてしまう。少女漫画誌の「りぼん」で連載されていたのが奇跡。
しりあがり寿「夜明け」(白泉社)
「瀕死のエッセイスト」(角川書店)
ほとんど哲学的にまで昇華されたしりあがりの初期の短編集。
彼の優しさが垣間見れる。 どれもこれも驚くほどの秀逸。
ただし、彼の別作品「真夜中の弥次さん喜多さん」などは、とてつもない傑作ではあるが、読むと逆にデカダンな気分になるので御注意を。。
古屋実「僕と一緒」(講談社)
「稲中卓球部」で有名な作家が、底辺の人間の真理を突き詰めた傑作。
なぜ、これだけ名声と財産を得た人間が、これほどの真理を理解しているのかが不思議。
ただし、彼の別作品「ヒミズ」は読むと死にたくなるので、本気で御注意を。。
花輪和一「刑務所の中」(青林工藝舎)
本来なら決して表に出ることのなかった才能が、刑務所に入ったおかげで一般にも受ける作品を創り出すこととなった。
ある意味、運命というのを感じる。
とにかくどんな世界でも、ほんの些細なことに気を留めて愉しみを見つけられるということを教えてくれる(本人はそんな気はさらさらないと思われるが)
山野一「混沌大陸パンゲア」(青林堂)
「貧困魔境伝ヒヤパカ」(青林堂)
デカダンも極まれりの世界。ただここまで行き過ぎると、どこか自分の存在を許せるような気分になる不思議な作品。
自殺した奥さんのねこじるの作品にも同様の空気は漂っている。
佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」(講談社)
個人的には、こういう暑苦しい作品は毛嫌いするほうなのだが、作者の画筆と監修の医療情報研究所の協力が医療漫画で例を見ないリアルさを産み出した。病気と医療の中から、生きることとはなにかを提示する。
華倫変「カリクラ(上下巻)」(太田出版)
決してポジティブな話しではないのだが、何か読んだ後、ホッとする変人・華倫変の短編作品集。画力もないが、なんともいえない世界観が素晴らしい。ただ作者は03年に心不全で死亡。自殺説も。残念。
手塚治「火の鳥」他ほとんど総ての作品
今さら挙げるまでもない天才。その根底にある人間愛には感服せざるを得ない。猿田彦の存在が哀しみを滲ませる。
ちばてつや「あしたのジョ−」
言うまでもないが、男なら絶対に読まなければならない傑作。死ぬ前に絶対に読むべし。読まなければ死ぬべからず。
書 籍
中野独人「電車男」(新潮社)
2チャンネルの「モテない男」たちが集うスレに書き込まれた「電車男」氏のリアル純愛体験記。
思わず笑い、拳を固め、心から応援してしまう。
本のカバーにある「今世紀最強の純愛物語」というのは決して嘘ではない。
ネットの新たにして大きな可能性を感じた意味でも、今世紀初頭の書籍界の大傑作と呼んでも過言ではない。
川又千秋「宇宙船∞(メビウス)号の冒険」(新潮文庫)
人類が滅亡した未来、残された機械知性体たちが最後の人間イーライン・∞(メビウス)の遺言を果たすべく、巨大な恒星間宇宙船(スターシップ)を建造して、生命と知性の存在理由を探し求める旅に出る、壮大なスケールのSF作品。個人的にSF文学にはとても疎いので、この作品がSF文学として質の高いものかどうか分からないが、短編に近い作品で、これだけ壮大にして哲学的な作品に仕上げたのはすごい。個人的に興味深いテーマだったので上げておく。
V.E.フランクル「夜と霧」(みすず書房)
ナチスによる迫害時の強制収容所を体験したユダヤ人精神科医の「人間とは何か」の真実を記した書。
言語に絶する体験を淡々とした語り口で伝えるが、 冷静さのなかに、作者の深い優しさと哀しみが伝わってくる。
単なる体験談としてだけではなく、心理学的にも哲学的にも例を見ない傑作。
なお同タイトルの作品が、訳者を変えて同出版社から2バージョン出ている。
クロード・ランズマン「SHOAH」(作品社)
同じく「ホロコースト」をテーマに、その時代に関わった被害者、加害者、もしくは第三者へのインタビューを編纂。本元は8時間を超える大作ドキュメンタリー映画である。
ただ、「ユダヤ人が第二次世界大戦で600万人殺された」というような統計的な数字に終わらせることを阻止したい作者の気迫が漂って来る。その時代を生きた生の声たちが、書籍からでも圧倒的な迫力でもって押し寄せる。
ユダヤ人であるというだけで被害者が体感しなければならなかったことを考えるだけで、無気力さなど吹き飛ばさざるを得ない。
中村元 「ブッダのことば−スッタニパータ−」(岩波文庫)
仏教の解説書は数多くあるけれども、日本で最高の仏教学者のなかから1冊挙げておく。
仏教にはいわゆる聖書のような教義として1冊にまとまったものがないので、あまり耳にすることはないと思うが、ブッダ本人の発したとされる言葉に注目。
2000年以上の時間の隔たりも関係ない、その言葉の重みを噛み締めているうちに、心の苦しみも和らぐ。
阿部公房「砂」他
高校生の頃に読んで覚えた衝撃は、忘れることが出来ない。これほどの天才がいることは人生に勇気を与えてくれる。(同じく作家の端くれとしては絶望も覚えるが)
誰も気付くはずはないが、このサイトのコラムにちりばめている無記名性は、彼の影響を受けていることを、ひっそりと告白しておく。
三島由起夫「仮面の告白」他
同じく高校生の頃に読んで覚えた衝撃は、忘れることが出来ない。上記と同様にに勇気を与えてくれる。
他にも著名な作品はいっぱい発行されているが、個人的には自叙伝的なこの作品がもっとも傑作だと思う。
誰も気付くはずはないが、このサイトのコラムで命がけで自分を晒しまくっているのは、彼の影響を受けていることを、ひっそりと告白しておく。
「ジロジロ見ないで」(扶桑社)
火傷や病気などで普通の顔を失った9人の物語。「他人の不幸を見て自分を幸福」と思うのは卑怯だが、それでも無意識に普通だと思っていたものを失った者たちの立ち直る様は勇気を抱かせる。他人事ではないので、号泣。
スティーブン・ホーキング「ホーキング、未来を語る」(アーティストハウス)
個人的に最近はもっぱら学術書(難しいことは分からないので簡易な解説書)ばかり読んでいるのだが、とくに宇宙論の話しなどは読んでいるだけで日頃の悩みがバカバカしくなれる。ベストセラーとなった前作「宇宙を語る」は難解だったが、今作は割と平易で初学者にも読み易いので挙げておく。
ちなみに言うと、筋萎縮症性側索硬化症という難病に17歳でかかりながら、今現在も生きて次々と新しい説を出していること自体が奇跡。
アルタン・モネティエ「奇形全書」(原書房)
世界中の奇形の情報と歴史を集めた450ページにも及ぶ快作。なんとも言えない人間の存在の可能性を感じる。著者自身の主張にはイマイチ首を傾げたくなるところもあるが、それに目をつむっても、「普通」であることについて改めて問いたくなる一作。
本川達雄「ゾウの時間ネズミの時間」(中公新書)
ベストセラーになった学術書だが、気軽に中学生でも読める。生き苦しくなったとき、思いきって「人間」から離れてしまうのも悪くないと思う。個人的には、それが宇宙のことであったり、進化論であったりしたが、人間以外の生き物に目を向けてみるのもありだ。養老孟子の「バカの壁」なんかでのテーマでもあったが、我々が一見信じているあらゆる「価値」という概念を見直させてくれる。本当に面白い一冊。
北山翔子「神様がくれたHIV」(紀伊国屋書店)
たまたまエイズ問題に興味を抱いていたときに手に取った書。闘病的な本は多数の作者が多数出版しているが、彼女のどこか悲愴感よりも若々しい行動力が表に出たこの本が、若者にも身近に感じられるので、挙げておく。
セックスには正しい知識を。それ以上にHIVやある種の病に、正しい知識が必要だと痛感させられる作品。
映 画
「戦場のピアニスト」ロマン・ポランスキー監督
自身も少年時代ナチスの収容所を経験したポランスキーの歴史に残る怪作。どこまでも哀しいくらいに滑稽で、滑稽なくらいに哀しいポーランドのユダヤ人ピアニストの物語。
最後のシーンでピアノを引きながら主人公が友人に3度振り返るシーンには、ひと際感涙。
なお同名の書籍も春秋社より発行されている。
「シザ−ハンズ」他、初期ティムバートン監督作品
監督本人がかなり変人だと思うが、歪んだ人物設定のなかにそれを自然と受け入れる奇妙な世界には、監督の人間愛が感じられる。
個人的にも大好きな作品。
初期と書いたのは「バッドマン」以降はメジャーになり過ぎて彼の本来の持ち味が減退気味だからここでは敢えて外した。
「過去のない男」「浮雲」他、全アキ・カウリスマキ監督作品
彼の作品は、ほぼ全作品が、寂れたフィンランドの町で貧しく冴えない中年オヤジが、盛り上がることもない淡々としたストーリーで進む。だけれども、どこか愛しく、優しい空気が漂う。爆笑するようなことはないけれど、いつのまにか引き込まれ、観終わった後、何とも言えない穏やかな気分になれる。メジャーで公開されることはないが、どれもこれも傑作。
「あの夏、一番静かな海」北野武監督
日本のタレント史どころか、世界映画史に残すべき偉人の撮った、恋愛映画。
本作までは、過激な暴力描写をウリにしていた部分があったが、一転して静かな描写が心を打つ。
ただし、彼の他の作品「ソナチネ」「3−4×10月」などは逆に死にたくなるので御注意を。。
前述の作家にも当てはまるが、思うに本当に人に優しくなるためにはどこか絶望を体験しなければならないのか、と考えさせられる。
「ファンシイダンス」周防正行監督
禅宗の修行中の見習い僧侶の生活を描いたコメディー映画。とにかく面白いの一言。その独特の笑いの間に、何度観ても笑える。
『Shall We ダンス?』や『シコふんじゃった。』でもそうだが、彼の一見馴染みの薄い世界を切り取る才能には感服。新作が待たれる。
「ベイブ(95年版)」クリス・ヌーナン監督
イギリスの童話作家ディック・キング・スミスの原作をもとに実写化した作品。子供向け作品と侮るなかれ。愛と希望の中に、恐ろしい程のシニカルな笑いが含まれた傑作。このコーナーは好きな映画を挙げてるわけではないが、個人的に人生で最も好きな映画の1本。
「プライベート・ライアン」スティーブン・スピルバーグ監督
スピルバーグが渾身の力を込めて作った戦争映画。過去に類を見ないリアルな描写が圧巻も圧巻。戦争映画がときに「生」への素晴らしさを教えてくれるものだとしたら、間違いなくこの作品がその代表である。
他、記憶を探り中。順次追加予定。
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