「太陽と短めの線」



太 陽
陽が昇り
ベットの下の影が伸びる
そこから立ち上がるには孤独が必要だ
 
 
 
挫 折
立ち上がった先の曖昧なものに
俺は何も嗅ぎ取ることができない
匂いがなければ諦らめるしかないので
影が消えるまで
また座り込むのも人生なのだろう
 
 
 
汚 れ
内側が汚れていく
言葉であり
肉体であり
衣服であり
感情であり
太陽の角度であり
気まぐれであり
ただ内側が汚れていくのを止めることが出来ない
それは
運が悪いだけなのだろうか
 
 
 
尖った角度
不思議なことだけども
その黒い角度は常に俺に向いている
目もなく
口もなく
感情もなく
光もない
ただその角度の尖った部分が
俺に向かって突き出している
懸命だ
懸命な自分が重なる
そうでない部分が角度の透明な外側で
懸命な自分が角度の黒い部分に違いない
 
 
 
無知と勘違い
愛している
そういう言葉がどこかにはあるのだ
お前は知らない
愛している
すまん
勘違いだった
 
 
 

いつだか名もない川で
いや
本当は名ぐらいあるのだろうが
誰もわざわざ呼びかけることのない小さな川で
誰かが息を呑んでいた
俺はそいつの背後に周り
少しかがんだその背中を手で押す衝動にかられたが
良く見ると
そいつの足元に苔で染まった石があったので
俺は手を伸ばすのをやめた
俺が突き落とすより
苔に滑る確率のほうが高いに決まっているんだ
 
 
 
(無題)
素敵だ
死んでくれ
 

 

サボテン
彼女は俺の後ろに座っていた
ペダルを漕ぐのも忘れるほど
快速で自転車は山を滑り
曇った空気が水色を消していた
このまま走り続けるのに意味はあるのだろうか
そうなんだ
俺は疲れていた
彼女は俺の肩に手を乗せ景色に酔っていたが
俺はハンドルを持つ手を緩めた
そのうちタイヤがグラグラ揺れ
大きく道を外れると同時に
サボテンの大木に衝突した
悲鳴を上げる彼女の白い肌に刺が幾万も突き刺さり
血の気の引いたその顔には
魅力の欠けらもなかったのが
意識の薄れた俺にはとても残念だった
 
 


(無題)
それ以上は
少し可哀相だ
それ以下では
少し足りないが
 
 


接 吻
唇が焦げ付いているので
このままキスするのは気が引けるよ
 

 
(無題)
知ってたかい
でたらめを並べて真実をつくるより
ありのままの真実を伝えるほうが大変なんだって
 


人間味
忘れていたぜ
俺は自分が憎いんだ
無性に自分が憎いんだ
殺したくなるほど憎いんだ
だけど本当に殺してしまったら
こんな憎い奴に殺されたことになる
可哀相だから
許してやるけど
やっぱり自分が憎くて仕方がない
殺したくなるほど憎くて仕方がない
それにしても
こんな気持ちでいるときだけ
やけに俺は人間らしいんだ
 
 


殺 意
三分たったら
殺してやる
 


砂 場
公園の砂場で
俺は一人石を積み上げる
なるべく平べったい石を見付けるんだ
そうしないとすぐに崩れてしまうから
一つ
一つ
積み上げて
せっかく積み上げたのに
それはすぐに音を立てて崩れ落ちる
ちくしょう
どう頑張っても自分より高くは積み上がらない
ちくしょう
どうすればいいんだ
 

 


暗 闇
目が回る
何故だ
立っていられない
きんぴかのものが
俺を誘う
ここから先のことは何もない
ただ目を回した俺は
道端に座り込むしかないのだ
 
 
 
(無題)
ああ
ただもう少し待って下さい
まだ何かが足りません
お願いです
もう少しだけ時間が欲しいのです
手ぶらなのはさすがにまずいでしょうか

線は短くなります

 

 

 

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