ラン・ローラ・ランラン
指名嬢出張鑑定 ファイル003(梅田氏編)
8月5日の金曜日。
久々かつ今さらに、指名嬢鑑定依頼が来た。
依頼人の名前は梅田。
たまたま掲示板に書き込む前に大阪の梅田に遊びに行ってたから梅田。
そんな安直なネーミングセンスを持つ梅田氏と待ち合わせたるは西日暮里。彼的に発音すると、「ニシニポーリ」だ。
御年30歳で奥さん子供が3人いるという梅田氏は、一見すると遊び人風の佇まいと良い加減な雰囲気を漂わせていたが、その実、詳しく話すと、その思いがさらに強くなるだけの薄っぺらな人間だった。
2時間ほど、彼の行き付けの居酒屋で呑み、指名嬢の鑑定に向かうことになったわけだが、そのとき彼は俺にある選択を迫った。
今、俺はこの街に二人の指名嬢がいて、一人が伊東美咲似、もう一人がセルゲイ・ハリトーノフ似なんだが、どっちの女と逢いたい?
それを聞いた俺は、考えるまでもなく、
セルゲイでお願いします。
と答えていた。
人生初の西日暮里呑みだったが、歩いているとキャバクラが何店鋪もあって客引きが声を掛けて来る。意外な穴場なのかもしれない。
案内された店はDという店で、店内は割と広かった。金曜ということもあってか満杯に近い客の入りだ。
梅田氏が、セルゲイを指名しておよそ1ヶ月。アフタ−も店外も誘ってないらしいので、まだハマっているとは言い難いが、元・ロシアの空挺部隊で演習中に生のカエルを喰って餓えを凌いでいたセルゲイ・ハリトーノフ。そんな男に似ている指名嬢は一体どんな女なのか。俺はワクワクして待った。
ところが、やってきたチャイナ服を来た彼の指名嬢は、長身の「普通の」美人さんだった。
どこが、ハリトーノフ似なんですか!
と突っ込むと、
いや、このコ背が高いだろ。だから、俺的には(同じく長身の)ハリトーノフなんだよ。
とつまらない発言をした。長身と言っても女のコのほうはせいぜい170センチ。まさに格闘技マニアゆえの発想の貧しさである。
期待を裏切られた感じだ。
しかし、その後、俺の隣についたコのあまりの素敵さに俺は、隣の彼らの存在を忘れてしまった。
Sと名乗ったそのコは小柄で明るくキュートで、まさにストライクで俺の好きなタイプだった。
そんなコが、席につくなり、
あたし、坊主の人、好きなの〜
と言って俺の坊主頭を撫で撫でしたかと思うと、抱きついてきた。
酔っていたのもあったと思うが、その後も、やたらと俺の身体に触れまくるS。
お返しとばかりに俺はそのコのおでこやホッペにチュ−したりしても、それを怒るどころか、キャッキャッと騒いで喜んでくれる。
当然、即座に場内指名を入れたわけだが、正直に言おう。
俺はこのとき、激しく勃起していた。
途中トイレに行ったが、脱いだパンツからはカウパー氏腺液が出まくっていた。
パンツがガビガビにならないようにカウパー氏腺液をちゃんと排出しなければ、と俺はジョボジョボと小水を垂れながら、機嫌良く、
ゾ〜ウさん、ゾ〜ウさん、お〜鼻が長いのね〜♪
と歌ってもいた。
もし近くに世界のナベサダ(渡辺貞夫)がいたら「ゴキゲンだねぇ〜」と言って褒めてくれたことだろう。
トイレから戻ると、またもやキャッキャッといちゃつく俺たちを見て、指名が被って一人で放置されていた梅田氏が、
独眼鉄!お前、鑑定する気ないだろ!!
と突っ込んできた。
そうだ。今日の目的はこのどうでも良い人と指名嬢の仲を鑑定することだったんだ。
本気ですっかり忘れていた。
しかし、もはやそれどころじゃない。
溢れる想いと溢れるカウパー氏腺液の前では、鑑定などどうでも良い。
そこで俺は、
じゃあ、テキトーに満点入れておきますから、こっちはもう放っておいて下さい。
と穏便に言った。
すると、どうも自分の指名嬢が実は人気者でさっきから席を抜かれまくっているのが気に入らなかったのか、梅田氏は異様に不機嫌な様子で、ヤケになったように、いきなりSに覆い被さったかと思うと、接吻を試みたのだ。
いやぁ!!
悲鳴とともに、マジで嫌がって、俺に助けを求めて抱きついてくるS。
あたし、鉄っちゃんが良いもん!
醜いまでの強引な行動を咎められた梅田氏の姿は、まさにマヌケそのものである。奥さんと子供には死んでも見せられない姿である。
しかし、そんなことより、 俺は、Sを抱き締めながら、
ヤバい!
と思った。
ズボンの摩擦だけでイっちゃうかもしれない。
そのくらい俺の陰茎は爆発寸前にまで肥大化していた。
しかし、俺は、そんな下半身の膨らみとは裏腹の穏やかさで、
セクハラはやめてくださいよ〜。キスなら自分の指名嬢にしたらどうですか?
と、彼に意見した。
すると、彼は、
よし!分かった!!
と何にも分かってなさそうなハイテンションで答えたかと思うと、
俺は今日、ハリトーノフとキスする。でも、出来なかったらもうこの店には来ない。
というようなことを言い出した。
だいぶ酔ってることを差し引いても、あまりに子供じみた決心である。
しかし、まあこの際、彼と指名嬢がどうなろうとどうでも良いので、
分かりました。見届けて差し上げますから、頑張って下さい。
と、無責任に煽り立てておいた。
彼は、勢い的に「出禁」も辞さない覚悟である。
多少、見物ではある。
指名嬢が席に戻ると、梅田氏は、自分の決心を少しもオブラートに包むこともなく、ありのまま口にした。
俺とキスさせてくれ。イヤなら、もう来ない。
男らしいと言えば男らしい発言ではある。
当然、困惑する指名嬢。
それを見て、梅田氏は、
じゃあ外でしよう、外で。
と、時間前なのに、チェックを要請する。
Sと別れるのは名残り惜しかったが、奢ってもらった手前、梅田氏の最期だけは見届けねばなるまい。
で、店の外でボーイの監視がなくなった途端だ。
梅田氏は、ホントに接吻を試みた。
ドキッとした一瞬だったが、指名嬢は、俺の視線を気にしながら、
待って。見られてるから。ホッペ。今日はホッペだけ。
と言って、梅田氏のホッペにチュ−した。
ベロベロの梅田氏は、それでは満足せず、
もう来ねえよ。
と大人気ない捨て台詞を吐いて、振り返りもしなかった。
が、俺はなにげに見逃さなかった。
こんなセクハラ客の指名なんか普通いらないはずだが、まじで、哀しそうな表情を浮かべる指名嬢。
キスを拒んだときも、彼の強引さではなく、あきらかに俺の視線に動揺していた。
誰も見ていない場所だったらイケた可能性も高い。
梅田氏本人は気付いてないが、俺は、今回の鑑定では、
意外とどうにかなっちゃう可能性はあるのでは?
という懸念を表明しておく。
嬢のお水度 ★★★★☆☆
入れ込み度 ★★☆☆☆☆
現在進行度 ★☆☆☆☆☆
今後の見込み度 ★★★★☆☆
経済状態 良
P.S. 梅田さん、酔い過ぎです。帰り、あきらかにふらついてましたよ。
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