オーマイゴッドファーザー
3月に行われた大オフ会のレポート「天丼桟敷の人々」では一言解説しただけだったが、それだけで終えるにはもったいない男について書いておかなければならない。
男の名は、MAF。
名前の由来は、マフィアの頭文字だという。
読まれた方もいるかと思うが、あのときのオフ会の模様が、某S学館の「Yングサンデー」で漫画になったわけだが、そのとき主役の座についたのが彼である。
なぜ、俺のサイトの集まりで俺以上に目立ったのか?
それには深いようで浅い、浅いようでやっぱり浅い訳があった。
要は、その存在感が並じゃないのだ。
その彼と二人で呑む機会がようやく出来た。
先日、彼に冗談で、「今度奢ってよー」とメールすると、「了解。お金を作るので少々待って下さい」などと返して来た。20代前半のフリータ−の若者が、お金を作ると言ったって無理だろ、と期待もせずに待つこと数日。
とりあえず二人で5万までならいけます。
というメールが届いた。
驚いて金の出所を聞くと、実は彼は元パチプロで、時間さえあればほぼ確実に稼げるという。
彼にとっては、預けてなくても引き出せるキャッシュサービスが町のいたるところに並んでいるわけだ。(註・正確には、勝てる台を探すのには大変だそうです)
年下のフリータ−に奢ってもらうのは本来なら気が引けるのだが、ギャンブルで得た金なら良いだろう。
そう思って、久々のタダキャバにワクワクドキドキボッキッキして指定した待ち合わせ場所に赴くと、正面から金色に光るジャケットを着たナイスガイが歩いてくる。
姿勢の良さと傾斜のついた顔の向きが特徴的な、MAF氏である。
登場からして、タダモノではない。
俺の視力は、0.1だが、彼だけは裸眼でもかなり遠方から発見出来る自信がある。
まずは居酒屋で軽く呑むと、彼は、180センチ80キロ(推定)のガタイを揺すりながら、
俺って、小食なんです。
と告げてきた。まずは軽いジャブのつもりだろう。
それから、ポケットからトランプを取り出して、今日の小道具を紹介した。キャバクラに行ったら披露してくれると言う。
これからこの男と一緒にキャバクラに行けることを思うと、ドキが胸胸してきた。今までに体験したことのない感情である。
あまりお酒が飲めないという彼に合わせて居酒屋を早めに切り上げ、まずは客引きと交渉してAという安キャバに行く。
嬢が付くと、彼は素早い手つきで例の小道具を取り出した。
人間、求められてもない芸を見せるのは中々勇気がいるものだが、彼の熟れた手つきがそんな疑問を寄せつけない。
怪訝そうな顔をしている嬢たちに説明もなく、彼は持ちネタの手品を披露した。
一瞬この異質な空間を心配になったのもつかの間、これが本格的で上質な手品だったため、嬢達の声は、黄色い歓声に変わった。
えーっ!すごーーい!なんで、なんで??
俺はそこで閃いた。
アフタ−してくれたら種明かししてくれるってさ
我ながら賢い誘い文句である。
しかし嬢達はことごとく「ふーん」と言っただけだった。
我ながら情けない断わられ方である。
さらに、B店、C店、D店とハシゴすると、マフ氏は見事なくらいについた嬢すべてに同じ手品を披露していた。
そして、俺も見事なくらいについた嬢すべてに、「アフタ−してくれたら種明かししてくれるってさ」と誘ったが、誰一人誘いに乗るコはいなかった。
そんなわけで、いつものように成果もない飲みを終えたわけだが、それでも、今日はなんとなく楽しんだ気持ちを抱えて、すでに終電のない彼を自宅に招いた。
翌日、彼が帰ると、置いていったトランプがあった。
マフ氏が披露した手品には一つ特徴があった。
それは、1回その手品をやる度に、1枚トランプを破かなければならないことだ。
数えてみると、彼のトランプは32枚しかなかった。
ジョーカーを入れて、元のトランプは54枚。これに32を引くと22。
つまりは、同じ手品を22回も一晩で披露していたわけだ。
そっとそのトランプを手にすると、間違いなく普通と比べて薄い。
手持ち無沙汰でトランプを切ってみると、薄くなったお陰でどうにも切りにくい。
幾度か切り続けると、トランプの薄さがどうにも切なさを禁じ得なかった。。
P.S. マフ氏、とても御馳走様でした。あとパチンコの教授サンクスです。