ストレンジャー・ザン・パラダイス(大阪編1)
旅は道連れ、とは言うが、女に相手にされないところまで道連れる必要もないだろうに。
そんな思いを抱えて揃ってダメっぷりを発したうにお氏と二人で名古屋のホテルで宿泊後、遅めの昼飯、指圧マッサージ(性感ではない)を経て、一緒に大阪に向うことになった。
彼の用事は独り寂しく自宅に帰ること。
しかし、俺はというと、この後人生最大のイベントが待ち受けていたのである。
それはなんと、このサイトを見て俺のファンになったという女の子とミナミの真ん中で逢う約束をしていたのだ!
はっきり言って驚くべき話である。
もともと俺が他で管理してるお笑いサイトの1コンテンツに過ぎなかった「キャバクラ体験記」が、分離独立して今のカタチになった後、個人サイトとしては驚異的なアクセス数を叩き出すようになったことは事実である。雑誌にも載ったし、知らないあいだに商業個人を問わずあちこちのHPやBBSでリンクを貼り巡らされている。女性の読者も結構いるとは思う。
しかしである。
自分でも思うのだが、女性から個人的に興味を持たれるようなことは何ひとつ書いているとは思えない。
客観的にみると、むしろ気持ち悪い。
すべて真実であるので自分で自分が哀しくなるが、こんなこと書いている奴がいたら笑いはしても、出来たら一生遭遇したくない。実際、このサイトを読んで俺をキモオタ呼ばわりをする人間は後を絶たない。
ところが、Sと名乗るそのコは、そんな俺に対して、純然たる出逢いを求めてきたのだ。
ニーチェは「神は死んだ」と言ったが、ところがどっこい神は生きていたのである。
しかし、過去の対人関係において、1に挫折2に挫折3、4がなくて、5に挫折というだけの俺は、実際に出向く前に、この出逢いのリスクを計算しておいた。
リスクマネジメントと言えば企業が最も重視しなければいけない事柄だが、この日俺が個人に応用した想定リスクが以下である。
1、 来ない
2、 冷やかしで、待ち合わせ場所の陰でバカにしている
3、 実は男である
4、 ぼったくりバーに連れて行かれる
5、 美人局(つつもたせ)だ
6、 スーパーヘビー級のブサイクだ
7、 電波系
8、 人間じゃない
9、 実は全部俺の妄想だった
とにかく俺の人生、負の意味ではどんなことが起こるか分からない。
たっぷり警戒していた。
ただ、まあ最終的にはいつ死んでも構わない身なので、なるようになれの精神で待ち合わせ現場に向った。
ところがである。
驚くなかれ、目の前に現われた女性は、そんなリスクを全て打ち消すような美人だったのだ!
偶然このサイトを発見したという彼女は水商売に関わったこともないという。
そんな彼女と、3時間ほどお酒を呑み交わし色んな話をしたわけだが、細かい話は省略する。
ただ、別れ際、俺が握手を求めると、彼女は笑顔で強く俺の手を握ってくれた。
その握力がどんなにか俺に勇気を与えてくれたかは、俺の稚拙な筆力では書き記すに及ばない。
彼女が口にした言葉を一言だけ記す。
独眼鉄さんは、私が思っていた通りの独眼鉄さんでした。